
薪ストーブの2重断熱煙突を自作してみた
※この記事は、2016年2月19日に、多田朋孔様にご寄稿いただいた記事です。
今回は薪ストーブの2重断熱煙突を自作する方法について詳しく書いてみたいと思います。
まずは薪ストーブの煙突についてあまり詳しくない方に向けて簡単な煙突に関する説明をしたいと思います。
煙突について
薪ストーブの性能を十分に引き出せるかどうかは煙突の良しあしがものすごく大きく影響します。
煙突の構造の種類には
①シングル煙突
②空気層2重煙突
③2重断熱煙突
と大きく分類すると3種類あります。
構造の分類とは別に、煙突の作り方で溶接煙突とハゼ折り煙突があります。
詳しくはホンマ製作所のサイトに書かれていますので、こちらをご覧ください。
http://www.honma-seisakusyo.co.jp/product/stovepipe/
煙突の値段はとても高く、しっかりした煙突にすると薪ストーブ本体よりも高くなる事があります。
煙突の種類別の値段の高い安いは以下のようになります。
安い シングル煙突⇒空気層2重煙突⇒2重断熱煙突 高い
安い ハゼ折り煙突⇒溶接煙突 高い
煙突には細い煙突から太い煙突まであって、基本的に太い煙突の方が空気の抜けが良くなり、性能があがるので高くなります。
物々交換した新しい薪ストーブは煙突の径が直系150mmと内径としては最も太い規格であったので、煙突の値段は最も高くなります。
まずは自分の家で煙突をつける際の設計図を書いてみました。
この煙突の本数でホンマ製作所の煙突の既製品を購入すると、計算したら溶接の2重断熱煙突で24万5240円、ハゼ折りの空気層断熱煙突で21万1140円になりました。
ホンマ製作所以外の煙突は煙突単体では販売しておらず、施工も一緒にやってもらわなければならないところしか見つからなかったため、ホンマ製作所で買うのが一番安いと思いました。
しかしながら、奥さんと子供2人を養いながら3年間の地域おこし協力隊生活をしていた事でお金にはほとんど余裕がなくなっておりましたので煙突だけで20万円以上出すのはかなり大変でした。
(※現在は2015年11月に第3子が産まれたので子供は3人になっています。)
それまでも薪ストーブはもっていましたが、その薪ストーブの径は直径106mmでしたので薪ストーブを新しくするには煙突も交換しなければなりませんでした。
下の写真は新しい煙突と古い煙突の太さの差がわかるように並べたものです。
という事で、いずれにしても煙突を変えないといけないのですが、せっかく変えるのであれば性能の良い2重断熱煙突にしたいと思いました。
ただ、2重断熱煙突は高いのでどうしようかと思って色々インターネットを検索してみると、薪ストーブの煙突を自作している人のブログがいくつかありました。
自作で2重煙突を作っている人のブログを色々見て研究し、結局自分でも作ってみました。
2重断熱煙突を自作する方法
前置きが長くなりましたが、ここからようやく2重断熱煙突を自作する方法を書きます。
煙突を自作すると言っても基本的には150mmのシングル煙突と200mmのシングル煙突の間に断熱材を入れるという程度で、全くのゼロから煙突を作るわけではありません。
そろえる材料
まずはそろえる材料を記載します。
■煙突の部品
ステンレスH笠(銀) 150mm×1個
T曲(90°)(銀) 150mm×1個
T曲(90°)(黒耐熱) 150mm×1個
エビ曲(45°)(銀) 150mm×2個
エビ曲(45°)(銀) 200mm×2個
直筒(銀) 150㎜×7本
直筒(銀) 200㎜×6本
直筒(黒耐熱) 200㎜×1本
スライド(黒耐熱) 150㎜×1本
ステンレス二つ割DX(銀)×4セット
ステンレス支え脚DX380mm(銀)×4セット
これらは段ボールに入って送ってこられました。
段ボールを開けて出してみるとこんな感じです。
■断熱材やダンパーなど
HONMA ホンマ製作所 眼鏡板用断熱材ファインフェルト煙突部材×1枚
※こちらは現在はリンク切れになっており、商品が購入できなくなっているようです。
下のロックウールで代用可能です。
ロックウールは余りますので1セット購入するだけで大丈夫です。
ロックウール吸音・断熱材「ロクセラムフェルト」密度40kg/m3<厚さ25mm×幅910mm×長さ11m>×1セット
ニチアスセラカバーS×1本
スーパーアルミテープVH×1個
ステンレス線 (#20) 線経0.9mm 500g (約100m)×1セット
煙突 パイプダンパー 6インチ 薪ストーブなどに [並行輸入品]
煙突の部品はGood job toolsで「煙突」で商品検索したら見つかりました。
https://www.good-job-tools.com/cgi-bin/goods_search.cgi?PriceMin=&PriceMax=&Keyword=煙突&pn=2
実は、このサイトで買うとホンマ製作所のサイトから直接買うよりも安く買えました。
しかも、以下の特典もありました。
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煙突部材のみでまとめてお買い求めいただくと合計金額に応じて割引いたします。
・50,000円以上お買い上げで合計価格より5%OFF!
・100,000円以上お買い上げで合計価格10%OFF!
・200,000円以上お買い上げで合計価格12%OFF!
※煙突部材のみ割引対象となります。
ホンマ製作所の煙突部材に限り、15,000円以上お買い上げで送料無料となります。
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という事で、上記全ての材料をそろえるのに合計9万8193円で済みました。
半額以下で収まりました。
(※現在は金額が若干変わっている可能性もありますが大きくは違わないと思います。)
壁を貫通して外に出る部分を作る
材料がそろったら、まずは部屋の中から壁を貫通して外に出る部分を作りました。
150㎜の煙突の回りにファインフェルトを巻き、ステンレス線で固定しました。
そして、200㎜の煙突の中に断熱材を巻き付けた150㎜の煙突を入れます。
入れ終わった状態はこちらです。
その後、少し切れ込みを入れて曲げ、前から見たときに中の断熱材が見えないように加工しました。
これを部屋の中から外に壁を貫通させる部分として使います。
壁から横に突き出た煙突を縦に曲げる部分を作る
続いて、壁から横に突き出た煙突を縦に曲げる部分を作りました。
T曲90°を2重にするためにニチアスセラカバーSをカットして巻き付けました。
そして、つなぎ目を固定するためにアルミテープを貼りました。
これを外に出すとこんな感じになり、ここから部屋の外を垂直に煙突をつなげていきます。
あとは、部屋の外の部分の煙突を断熱するために150㎜の煙突にロクセラムフェルトを巻き、ステンレス線で固定し、200㎜の煙突の中に押し込みました。
これを量産します。
45°のエビ曲がりの部分は150㎜のものと200㎜のものの長さが違ったので2重断熱にするのは難しかったですが、何とかカットなどせずにできました。
煙突トップの部分は150㎜の1重にしました。
煙突をつなぎ合わせる
あとは、外に出て一つ一つ煙突をつなぎ合わせていきました。
45°の部分をつなげるのはなかなか苦労しました。
屋根が出っ張っている部分があるため、45°の部分が必要でした。
こんな感じになります。
これで、無事2重断熱煙突が完成しました。
煙突が開通した後に、ダンパーを取り付けました。
煙突に穴を空ける
煙突に穴を空けるのですが、ちょうど煙突のど真ん中をダンパーの棒が通るように2箇所に穴を空けるため、まずはトンカチの細い方で叩いて目印を1つつけた後、
ひもをぐるりと回し、ちょうど1周させたところにマジックで目印をつけます。
そして、目印がついた部分と端を同じところに来るようにして2つ折りにします。
そして2つ折りにした部分にしるしをつけます。
これにより、煙突の円周を2で割った真ん中の部分にしるしがつきます。
このひもを煙突にまくと、ひものしるしのあるところが穴を空けるべき場所になります。
そこを6.5㎜のドリルで空けました。
穴にダンパーの棒を通します。
そして、ダンパーを取り付けます。
自作2重煙突は空気の抜けがとても良いので、熱をから逃がさないために、また燃費をよくするためにダンパーを取り付けるとよいそうです。
使ってみた感想としては、ダンパーを閉じると確かに熱が逃げにくくなったような気がします。
250℃から300℃の間で巡行運転ができ、薪の持ちもよかったと思います。
今の時点で11月~2月まで使っていますが、非常に調子が良いです。
以前の106㎜のシングル煙突の時は2週間に1回は掃除をしなければ煙突にタールがたまって煙の抜けが悪くなり、部屋に煙が逆流していましたが、2重断熱煙突にしてからは全くそういう事はありません。
また、自作でしたので安全性に問題がないかどうかも注意する点ではありましたが、今のところ全く問題なく使えております。
この記事をご覧頂き、自作で2重煙突を作る方はくれぐれも自己責任でお願いいたします。
もっと深く相談したいという方がいらっしゃいましたら以下のメールアドレスまたはFacebookのメッセージにご連絡いただければご相談に乗る事もできると思います。
tomoyoshi@tadafamily.com
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